日本統治時代の台湾教育会館で、光復後は台湾省議会として利用された。設計は辰野・葛西建築事務所での設計経験もある井手薫で 1931 年完成。井手はこの後も司法大廈 (台湾総督府高等法院: 1934 年)、中山堂 (台北公会堂: 1936 年)、行政院 (台北市役所: 1940 年) など旧台北城近辺の近代建築を手掛けており、見比べるのも一興。
1922 年に台湾総督府専売局として建てられた辰野式建築。設計は台北と台南で数多くの建築を担当した森山松之助。ドーム屋根を頂いた玄関ポーチ、半円で柔らかみを出しつつも威厳を感じさせる正面妻面、その背後で対象的に角張って聳える塔屋など、一目で印象に残る建物。
元は日本統治時代の 1899 年にアヘンと樟脳を製造すべく建てられた専売局台北南門工場。工場自体は 1960 年に創業を停止。館内で上映されている日本統治時代の映像 (17 分程度) が興味深い。製糖業 / 林業 / 塩業など、当時の産業の状況や台湾の重要性がよく分かる。
正門中央に位置する守衛室は臺灣大學の前身である帝国台北大学創建直後の 1931 年に建てられたもの。建材として使われている唭哩岸石は北投で取れるもので、高い耐熱性を持つ。
1931 年に台北放送局として建てられた帝冠様式のモダン建築。壁面の色と赤瓦がどことなく南欧的な印象を与える。設計は台北郵局も担当した栗山俊一。
旧台湾総督官邸。1901 年に建てられた初代官邸を改築して 1913 年に完成したバロック風建築で、設計は森山松之助と八坂志賀助。台北に残る洋館の中でも一二を争う素晴らしい建物だが、住居としての使い勝手が良くなかったのは東京の東宮御所 (迎賓館赤坂離宮) と同じで、歴代総督は田健治郎の在任時に建てられた数寄屋造の別館を主に使ったという。
日本勧業銀行台北支店として 1933 年に建てられた RC 造 3 階建の建物。合計 13 本の巨大なドーリア式のジャイアントオーダーが銀行建築らしい重厚さを醸し出す。内部はコリント式オーダーの柱が並び、荘厳ながらも優雅な雰囲気。
1908 年に児玉総督後藤民政長官記念館として建てられたギリシア風建築で、1909 年に台湾総督府博物館に改称。設計は台湾総督官邸も手掛けた野村一郎。特別展が毎回興味深いので、台湾に来るたび訪問する価値あり。
台湾総督府医学専門学校の校舎として 1907 年に建てられたルネサンス様式の建物。元は赤煉瓦の辰野式建築だったようだが、1930 年の火災で現在の姿に改修。設計は近藤十郎。
台湾総督府の技師だった藤本鐵治と東京税務監督局技手の森康宏を中心として、1914 年に設立された日本芳醸社の工場が前身。気候・風土の違いからまともな日本酒がなかった台湾できちんとした日本酒を作るべく、当時日本にもなかった先進的な技術を貪欲に取り入れ、奮闘した歴史が刻まれている場所。醸造された清酒「胡蝶蘭」は高い評価を得たという。
日本統治時代の 1937 年に作られた煙草工場をリノベーションしたスポット。建物はもちろん、広い池や中庭のバロック式庭園が見どころ。
日露戦争の傷痍軍人の療養地として 1898 (明治 31) 年に設立された病院の建物。1895 (明治 28) 年に、日本海軍少将角田秀松が北投の温泉療養の効果の高さに気付いたことが設立のきっかけ。
1922 年に、皇太子 (後の昭和天皇) を迎えるために、金瓜石の採掘権を有していた田中鉱山の田中長兵衛が建てた書院造の邸宅。但し、実際に皇太子が金瓜石を訪れることはなかった。光復後は台湾金属砿業が接収して「第一賓館」として使用。
1919 年に台湾総督府として建てられた、赤煉瓦 + 花崗岩の辰野式建築。設計は辰野金吾に師事し、大倉山記念館などを手掛けた長野宇平治。長野の当初案では中央塔は 6 階程度だったが、威厳を強調するために現在の 9 階建に引き上げられている (ので、ちょっとバランスが悪いと思う)。
